「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか」(清水泰行著、p273-p277)
子どもの喘息に関してリンゴジュースとオレンジジュースを比べると、リンゴジュースでは喘息のリスクが高くなるが、オレンジジュースでは喘息と関連していない。ある研究では2~9歳の子供に週1回以上リンゴジュースを与えた場合、喘息になる可能性は2倍以上であった。
この違いは果糖とブドウ糖の比率である。リンゴは果物の中で最も果糖の割合が大きく、果糖とブドウ糖の比率がほぼ2:1である。一方オレンジは、果糖とブドウ糖の比率がほぼ1:1である。この違いがリスクの違いを生んでいると考えられる。
果糖とブドウ糖の比率で果糖が非常に多い果物は、リンゴ以外に洋梨、日本梨、マンゴー、スイカである。これらの果物を子どもに与える場合は注意が必要であろうし、これらのフルーツを使用したジュースは、今すぐにでも子どもに与えることを中止した方がよいだろう。
また、様々なジュースの甘みには異性化糖(高果糖コーンシロップ、果糖ブドウ糖液糖など)が使われていることが多い。異性化糖はブドウ糖よりも果糖の比率が高い。様々な果糖を多く含んだ飲料を2~9歳の子どもに週に1回以上与えると、喘息になる可能性が4~5倍以上になる。(中略)
また、異性化糖入り飲料、フルーツドリンクおよびリンゴジュースを週に1回以上飲んだ場合にアレルギー症状を起こす可能性は、6~12歳の子どもで3倍以上、13~19歳では4~5倍以上であった。(中略)
しかもこのような影響は子どもだけではない。大人を対象とした研究でも様々な弊害が報告されている。20~30歳の成人で異性化糖入り飲料、フルーツドリンクおよびリンゴジュースを週に5回以上飲んでいる場合、関節炎になる可能性が3倍になっていた。(中略)
また、20~55歳の成人で異性化糖入り飲料を週に5回以上飲んでいる場合、慢性気管支炎になる可能性が1.8倍になっていた。(中略)
さらに、45~59歳の成人で異性化糖入り飲料、フルーツドリンクおよびリンゴジュースを週に5回以上飲んでいる場合、心臓の冠動脈疾患になる可能性が2.8倍であった。(中略)
異性化糖はブドウ糖よりも果糖の比率が高いことによって炎症が生じ、様々な疾患のリスクを上げるのは、根底にある果糖吸収不全(果糖の摂りすぎによって起こる)による、炎症誘発性の果糖に関連したAGEsが腸で形成されることが原因の1つと考えられる。腸管で果糖が食事の中のタンパク質と反応を起こしAGEsを形成するのである。それが吸収され、免疫原性として機能し、炎症反応を起こすと考えられる。(引用は、ここまで)
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AGEs。advanced glycation end products(終末糖化産物)
果糖は控えるべきだろう。