「がんに効く生活」とか

1972年生まれ。男性。2013年まで精神科医をしていました。リンクは自由です(連絡不要)。

ためらい

昨日、午後0時後半に、母は、トイレを詰まらせた(我が家は水洗トイレ)。

その後、20分ほどして、母は、再びトイレに行った。

詰まっているにもかかわらず、水を流した。

トイレから茶色い水があふれ、床にこぼれた。

 

我が家には、ぱっこんぱっこんする分がない。

午後1時13分に、民生委員の方に電話をした。

30分ほどして、来てくれた。

ぱっこんぱっこんする分を持って来てくれた。

それを詰まっているところに入れて、押して引いたら、詰まっているのが取れた。

良かった。

運が良かった。

 

その後、トイレの床を雑巾で拭いた。

便座も雑巾で拭いた。

 

台所の床と廊下の床も、ついでに拭いた。

 

私は、これで力尽きてしまった(この程度の体力なのです)。

 

もう駄目だ、と思い、ケアマネさんに電話。

 

もう家で看れない、と伝え、グループホームを当たることにした。

 

同じことを、夜、されたら、終わっている。

 

そう考えた。

 

昨日は、午後8時10分に就寝。

今朝は、午前7時10分に起床。

 

寝床で、もう一度、考えた。

 

便の始末だけ出来れば、何とか家で看れるのではないか。

 

+++

 

昨日、午後5時10分に、「食べる?」と訊いた。

 

母は、「食べる。」と答えた。

 

オリーブオイルを引いて、鶏のもも肉をフライパンで焼いた。

それを母の寝床に持って行った。

「要らん。」と。

「食べる、言うたやろ。」と言って、私は、母をビンタした。

右の頬を平手で叩いた(私は左利き)。

「なんぼ、叩いても、要らん。」

私は、我に返って、台所に、もも肉を持って帰った。

 

しばらくすると、食べる素振りを見せている。

もう一度、寝床に鶏肉を持って行った。

母は黙って起きて、鶏肉を食べ出した。

無理矢理、口の中に鶏肉を押し込んでいるように見えた。

お皿(深皿)の底にあるオリーブオイルも飲んでくれた。

 

この人、分かっているのか。

 

ふと、そう思った。

 

母の場合、左中大脳動脈が枝が詰まっている(私はそう考えている)。

詰まっている血管が養っていたところ(神経細胞グリア細胞)は、駄目になっている。

しかし、それ以外は、保たれている。

おかしなところとそうでないところがある。

待つことは出来なくなったが、物事を観察し、状況を理解する能力は保たれているようだ。

 

そう言えば、トイレを詰まらせて、もう一回、トイレに行って、水を流した後(トイレの水をあふれさせた後)、「ごめん。」と言っていた。

 

アルツハイマー認知症で、記憶も、理解力も、洞察力も損なわれているのなら(全ての脳機能が一様に損なわれているのなら)、施設に入れることを躊躇したりしない。

 

まだら痴呆だから(残っている部分とそうでない部分があるから)、迷うんだろう。