「がんに効く生活」とか

1972年生まれ。男性。2013年まで精神科医をしていました。リンクは自由です(連絡不要)。

コレステロール

本日2記事目。

コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」(浜崎智仁著、講談社+α新書)

p67 第3章 コレステロールはまったく悪くない

p68 コレステロールは危険なものではなく、ほかの物質と反応することの少ない、極めて安全な物質である。その安全な性質のために、細胞膜の主要構成成分となっている。もしもコレステロールが危険で反応性が高いものなら、細胞は存在できない。

また、直接肌に塗りつけても反応性がなく、保水性もあるので、化粧品やクリームの基材となっている。これほど毒にも、多分薬にもならない水みたいな存在は、あまりない。

細胞膜はリン脂質とコレステロールからできている。ほかにも膜には、ホルモンの受容体など、重要なタンパクが埋め込まれている。

細胞膜は、堅い部分と流動性のある柔らかい部分の両方からできており、堅い部分は膜がいろいろな仕事をする際の仕事場となっている。コレステロールは、膜にある程度の堅さを与えることができ、必要不可欠である。コレステロールが減ると膜機能に重大な障害が生じ、細胞からの分泌や細胞内への取り込みなどもおかしくなる。

ところが、これを「毒」と認定することで、いつしかとんでもない「市場」ができあがってしまった。「コレステロールは粥状動脈硬化の中身となっているのではないか」という議論がある。これは現在ではほぼ常識になっている。専門家すらそう信じている。

しかし、動脈硬化巣にたまっているのはコレステロールだけではない。粥状硬化の脂質部分にコレステロールが占める割合は平均してせいぜいが30%、動脈硬化巣全体では10%程度なのだ(ほかは細胞の残骸、トリグリセライドなどの中性脂肪、それに繊維など)。

コレステロールは単に、そこに居合わせて、巻き込まれた通行人なのだ。コレステロールに罪はない。

動脈硬化心筋梗塞には変えることのできない危険因子がある。それは年齢、性差(男性のほうがリスクが高い)、遺伝である。その次に、魚を食べない生活、ストレス、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満などが続き、やっと10番目くらいにコレステロールがやってくる。(引用は、ここまで)

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ということで、コレステロールを下げる薬は飲まない方が良い、と思う。