「がんに効く生活」とか

1972年9月生まれ。男性。2013年まで精神科医をしていました。リンクは自由です(連絡不要)。

魚油で心不全死亡率が低下

コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」(浜崎智仁著)p119-120

EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)を含んだ魚油に関しては、循環器系・血管系の疾病予防についての有用性が示唆されている。

その中でも、製薬会社とは一線を画した研究集団がイタリアにはある。約600名のGISSI(心筋梗塞のサバイバルのためのイタリア研究グループ)と呼ばれる循環器専門医の集団だ。彼らは企業からの資金をあてにせず、手弁当で研究をしている。

GISSIの業績はいろいろあるが、最近興味をひかれたのは、心不全患者での総死亡率を比較した研究だ。魚油を投与することで、多少であるが有意に死亡率を低下させることに成功した(すでに心不全に関する一般的治療も施しているため、現れた効果は少ない)。また、スタチン(コレステロール値を下げる薬)が心不全に無効であることも判明した。

最近わが国でも、大規模な追跡調査(JACC study)で、魚の摂取と心血管疾患、脳卒中予防率との相関が調べられた。日本は、先進工業国の中では魚の摂取量が飛びぬけて多い国であるが、n-3(エヌひく3)系脂肪酸の摂取が多い群では、心血管疾患での死亡率(特に心不全)が少ないことが示されたのである。

(引用はここまで)

 

前掲書p112

主なn-3(エヌひく3)系脂肪酸には、α-リノレン酸EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などがある。α-リノレン酸は、シソ油、エゴマ油に多く含まれる。EPADHAは魚油に含まれる脂肪酸である。

(引用はここまで)

 

まとめ

イタリアの研究(製薬会社が関与しない)。魚油を摂った群で、心不全患者での総死亡率が少し低かった。

日本の研究。魚油とエゴマ油を多く摂った群で、心不全での死亡が少なかった。