自分が考えている事と逆の事を述べている論文があったので、それについて書く。
要約
伝統的に牛乳の消費量が多い国であるスウェーデンでの最近の疫学研究では、非発酵低温殺菌牛乳の摂取が用量依存的に全死因死亡率を増加させることが明らかになりました。対照的に、疫学および臨床研究の大部分は、発酵乳製品、特にヨーグルトの有益な健康効果を報告しています。このレビューの意図は、ラパマイシン複合体1(mTORC1)シグナル伝達の機構的標的に基づいて、非発酵乳とヨーグルトの摂取に関連する潜在的な分子老化メカニズムを明らかにすることである。非発酵低温殺菌牛乳は、インスリン分泌促進性分岐鎖アミノ酸(BCAA)、豊富な乳糖(グルコシルガラクトース)、生理活性エキソソームマイクロRNA(miR)の高いバイオアベイラビリティにより、mTORC1シグナル伝達が促進され、寿命が短くなり、全死因死亡率が上昇します。一方、発酵関連乳酸菌はBCAAを代謝し、ガラクトースやmTORC1活性化マイクロRNAを含むミルクエクソソームを分解します。産業革命により、牛乳の低温殺菌と冷蔵の導入により、牛乳のBCAA、ガラクトース、およびmTORC1を相乗的に活性化する生理活性miRを分解する有益な牛乳発酵細菌の作用が制限されました。新石器革命後のヒトにおけるこの認識されていない行動の変化は、老化と全死因死亡率の潜在的な危険因子である、発酵していない低温殺菌された牛乳を大量に持続的に消費するヒトのmTORC1シグナル伝達の加齢に伴う過剰活性化を増加させました。(要約はここまで)
私のまとめ
低温殺菌牛乳(65℃30分とか72℃15秒)を飲んでいると、早く死ぬ、と書いてある。
一方、ヨーグルトは良い、と言っている。
ヨーグルトに含まれている乳酸菌が良い仕事をする、と書いてある。
低温殺菌出来るようになったのは、産業革命後だ、と。
冷蔵庫が普及したのも、産業革命後だ、と。
牛乳って危ない? その2 – ドクターシミズのひとりごと (promea2014.com)
上記論文を日本語で説明している。
低温殺菌牛乳を飲むと、
2型糖尿病になりやすくなる。
乳癌になりやすくなる。
前立腺癌になりやすくなる。
肝細胞癌になりやすくなる。
非ホジキンリンパ腫になりやすくなる。
パーキンソン病になりやすくなる。
大腿骨頸部骨折を起こしやすくなる。
死にやすくなる。
ヨーグルトを食べると、
上記全てになりにくくなる(リスクが低減する)。
(清水先生の説明はここまで)
目を疑うような結果だ。
牛乳・乳製品の機能性・おいしさを科学する|シンポジウム|酪農総合研究所 Research & Development Center For Dairy Farming (rakusouken.net)
神秘4-乳はなぜ健康に良いか、を見ると、乳癌と前立腺癌を減らすと書いている。骨健康とも書いている(骨折しにくくなるという意味だろう)。
一体、どっちなんだ!
牛乳の長寿効果、再掲 - 「がんに効く生活」とか (hatenablog.com)
70歳の方を10年追跡し、何人が(何割の方が)、80歳まで生きる事が出来たか、を見ている。
牛乳をときどき飲む、または、飲まない男性に比べて、毎日、飲んでいる男性は、生存率が高い。(80歳まで生きた人の割合が多かった。18ポイントの差がついている。)
牛乳をときどき飲む、または、飲まない女性に比べて、毎日、飲んでいる女性は、生存率が高い。(80歳まで生きた人の割合が多かった。6ポイントの差がついている。)
一体、どっちなんだ!
日本のスーパーマーケットで売られている牛乳は、殆ど全てが、超高温殺菌(120~150℃、1~3秒)した牛乳なので、上の論文に書かれている事は、そのまま、当てはまらない、と思う。
日本人でかつ、日本人が食べるような物をこれまで食べて来たのだから、日本人における追跡調査の結果に従う(牛乳を毎日飲むと、より高い確率で80歳にたどり着ける)、でも良いし、牛乳が飲めない体質だから、ヨーグルトにする、でも良い、と思う。
最後に
スウェーデンの論文なので、利害関係とかがさっぱり分からない。
人口削減に繋がるような論文を、2021年以降、時々見るので、その可能性も捨て切れないと思う。