「コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」(浜崎智仁著)p100-101
実は感染症にかかりにくい。
高コレステロール血症では、むしろ感染症に対して強くなることがわかっている。一般人でも、LDL-コレステロール値が高い群ほど肺炎による死亡率が低いことがわかっている。
neruzoh注。
LDL-コレステロールとは、low density lipoprotein cholesterol(低密度のリポ蛋白コレステロール)のこと。
最近、19~20世紀のオランダの、家族性高コレステロール血症の家系を追跡した調査が報告された。家系図から、19世紀には、家族性高コレステロール血症は長寿であることがわかった。
19世紀から20世紀初めにかけて、死亡原因として多かったのは感染症である。家族性高コレステロール血症の人は感染症に強かったのではないかと考えられる。
LDL-コレステロール値が高いと、バクテリア(細菌)の周囲を囲んでいるリポポリサッカライド(LPS)の毒性が軽減される。LPSはエンドトキシンとも呼ばれ、多糖類と脂質の複合体で、細菌の外膜部分の一部をなす。炎症にかかわる動物実験でよく利用されるものである。
遺伝子を操作して家族性高コレステロール血症となったマウスでは、LPSを投与すると、野生種のマウスより8倍も抵抗力が強かった。
コレステロールを減らしたラットに細菌毒素を注入すると、大部分のラットはただちに死亡したが、前もってヒトの精製LDLを注入しておくと死亡しなかった。LDLには細菌毒素やウィルスを中和する作用があるのだ。このほかにも、リポタンパクが細菌やウィルスを中和するとの報告が何報もある。
致死率がほぼ100%の伝染病が世界的に蔓延したとする(パンデミック)。そのとき、家族性高コレステロール血症の人はLDL-コレステロール値が非常に高いため死なずにすみ、人類は結局、生き延びることになろう。家族性高コレステロール血症の人たちは、選ばれた人たちなのである。(引用はここまで)
neruzoh注。
前掲書は2011年2月20日第1刷発行(2019年以前に刊行されている)。
家族性高コレステロール血症は、遺伝性の高コレステロール血症。若いときからコレステロール値が300~330㎎/dlと高く、これが診断をつける基準の一つになる。親兄弟がこの病気を持っていることも診断の決め手になる。500人に1人の割合で発症する。(前掲書p95-96を私がまとめた。)
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高コレステロール血症では、むしろ感染症に対して強くなることがわかっている。一般人でも、LDL-コレステロール値が高い群ほど、(細菌感染などによる)肺炎による死亡率が低いことがわかっている。
コレステロール値が高いほうがずっと長生きできると思う。