「がんに効く生活」とか

1972年9月生まれ。男性。2013年まで精神科医をしていました。リンクは自由です(連絡不要)。

「コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」

コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」p102-103

コレステロールと総死亡率の間には、二つの関係があり得る。

コレステロールが原因となって寿命を左右する場合

②別の原因(関連した複数の原因も可)がコレステロール値と寿命の両方を左右する場合

である。

①に相当する部分としては、前述の家族性高コレステロール血症の家系の寿命についての報告や、マウスの実験などにより、LDL-コレステロール感染症に対して「善玉」として働く可能性が高いと考えられる。

神奈川県伊勢原市民を対象にLDL-コレステロール値と総死亡率の関係を調べた研究では、肺炎(少数だが感染症以外の原因で呼吸不全になって死亡した例を含む)による死亡率は、LDL-コレステロール値が180㎎/dlを超えると、男性でほかの群の1/3程度に、女性では半数近くに低下している。

②に関しては、肝疾患がその代表例に当たる。肝疾患によってコレステロール値が低下する。

LDL-コレステロール値が極端に低い人たちは、何らかの重大な疾患を持っているためコレステロールを合成できず(そのためコレステロール値が低い)、また、その疾患によって死亡してしまったので、因果関係が逆である、と指摘されることがある。

今までの疫学調査では、そのことを除外するために、最初の1~5年で死亡した数値を除く操作をしている研究もある。このような操作をしても、多くの研究で本質的な変化は見られなかったと報告されている。

分析疫学における手法の一つ、コホート研究はもともと因果関係を調べる研究ではないので、前記①でも、②でも、高コレステロール値で死亡率が低ければ、それでいいのだが、因果関係はどちらにしろ、「コレステロール値が高いほうが安全である」という命題と何ら矛盾するものではない。コレステロール値の高い人たちは胃腸や肝臓などの内臓がしっかりしていて、しかもうつ病とはほど遠い人が多い。彼らはよく食べ、病気になりにくい。

かつて高コレステロール血症の患者さんを外来で診療していたとき、となりの部屋で別の病気を診ていた同僚の医師から「先生の患者さんはよく笑うね。明るい笑い声が聞こえてくる」と指摘されたことがある。確かに、高コレステロール血症の患者さんは朗らかだ。よく食べるし、よく笑う闊達な人たちである。病気でないからだ。

(引用はここまで)

 

コホート研究 - Wikipedia

コホート研究(コホートけんきゅう、英語: cohort study)は、分析疫学における手法の1つであり、特定の要因に暴露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察研究の一種である。

 

具体的な例としては

J. Soc. Jpn. Wom. Sci., 1(1): 5-6 (2000) (jst.go.jp)

原爆被爆者調査の最も重要な結果は、被曝放射線の増加とともにがんのリスクが上昇するということである。良く知られている白血病のリスクの他に肺がん、乳がん胃がん甲状腺がんなどの固形がんのリスクも上昇している。

 

まとめ

コレステロール血症は病気ではない。従って、コレステロールを下げる薬を飲む必要はない。