「がんに効く生活」とか

1972年9月生まれ。男性。2013年まで精神科医をしていました。リンクは自由です(連絡不要)。

抗うつ薬の効果

重度の不安障害、うつだった私が日常生活を普通に送れるようになった理由 - ゆらゆらただよう さかな日記 (hatenablog.com)

母の事、予防と治療 - 「がんに効く生活」とか (hatenablog.com)

さかなさんからコメントを頂いた。

>自分自身も薬で良くなったのかどうかはよくわからないですが。

 

比較試験の話です。

 

うつ病の患者さんが200人いました。

100人は抗うつ薬を飲みました。
100人は偽薬(プラセボ)を飲みました。

 

注。偽薬(プラセボ)。見た目は抗うつ薬と同じ。だけど、中身は、小麦粉と乳糖だけで(例えば)、薬の成分は入っていないもの。

 

抗うつ薬を飲んだ100人のうち、60人が良くなりました(うつの症状が良くなった)。
偽薬(プラセボ)を飲んだ100人のうち、40人が良くなりました(うつの症状が良くなった)。

抗うつ薬を飲んだ人のうち、6割が良くなった。
偽薬(プラセボ)を飲んだ人のうち、4割が良くなった。

抗うつ薬で良くする事が出来たのは、2割だけだ。

 

もしくは、うつ病の患者さんを5人診て、その5人に同じ抗うつ薬を処方し、飲んでもらった。
抗うつ薬が効いて良くなったのは、1人だけだ。
5人中2人は、偽薬(プラセボ)を飲んでも良くなるし、残りの2人は、抗うつ薬を飲んでも良くならない。

そう言う事が出来る。

 

抗うつ薬って、あまり効かないんだな」と思われた方もいる、と思う。

「6割位の患者さんが良くなるんだな」と思って、私は処方していた。