「がんに効く生活」とか

1972年9月生まれ。男性。2013年まで精神科医をしていました。リンクは自由です(連絡不要)。

アゾセミド(おしっこを出す薬、私が処方されている薬)

急性・慢性心不全診療ガイドライン

j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_h.pdf

ループ利尿薬は急性増悪期のうっ血解除の目的で汎用されてきた.慢性心不全例にあっても多くの場合長期投与がなされてきたのが現状である.それにもかかわらず,慢性心不全におけるループ利尿薬のエビデンスはほとんど存在しない.この現象は,ループ利尿薬が EBMの時代が到来するより前に日常診療に浸透してしまった経緯による.一部のメタ解析の結果では心不全の予後改善に寄与するとの報告もあるが269),大規模臨床試験のデータベースを用いた後ろ向きの解析結果では,フロセミドを中心とするループ利尿薬は生命予後悪化につながるとの結果であった270– 273).

 

現在は、比較試験、追跡試験を用いて、「この薬は、再入院率を改善するか、生存率を改善するか」といった命題を解決しようとしている。

比較試験、追跡試験の結果をエビデンスと言う。

EBM(evidenced-based medisine)、エビデンス(根拠)に基づく医療がなされるようになる前から(1990年頃以前から)、ループ利尿薬は処方されていた。

 

大規模臨床試験のデータベースを用いた後ろ向きの解析結果では,フロセミドを中心とするループ利尿薬は生命予後悪化につながるとの結果であった

 

とんでもない話だと思う。

 

その機序として,ループ利尿薬は低カリウム血症を惹起することにより,致死的心室不整脈ジギタリス中毒を伴うことや,交感神経,RAA系を活性化するということ274)があげられる.

 

不整脈を起こす。交感神経やRAA系が活性化されると、血圧が高い状態が持続する。

 

長時間作用型ループ利尿薬であるアゾセミドは循環動態変動作用が緩徐で,神経体液性因子などへの影響が少ないと考えられる.わが国で行われたフロセミドとの比較試験では,一次エンドポイントである心血管死あるいは心不全増悪による入院件数はアゾセミド投与群のほうが少なかった275).

 

作用時間が短いフロセミドより作用時間が長いアゾセミドの方が、心血管が原因で命を落とすことや、心不全が悪化して入院することが少なかったと書いてある。

 

しかし、フロセミドよりアゾセミドが優れていることではなくて、プラセボ(偽薬)よりアゾセミドが優れているかどうかを私は知りたい。

 

何も飲まないよりアゾセミドを飲んだ方がいいのかどうかを知りたい。

 

短時間作用型利尿薬(フロセミド)より長時間作用型利尿薬(アゾセミド)のほうが予後改善効果,とくに心不全の再増悪を抑制する効果が大きかった275).

 

さっきと同じ論文の解説だが、もう一度。

フロセミドよりアゾセミドの方が、心不全の再増悪(また悪くなる事)を抑える効果が大きかったと書いてある。

 

ループ利尿薬は、30年以上前から使われている。

そういった薬が、本当に効いているのか、患者さんのためになっているのか、ということを、それを専門とする先生と話すのは難しいと思う(相手の頭が柔軟か、相手が気さくな人かという問題だと思う)。

服薬のメリット(服薬する事によって得られる恩恵)について話し合う事は難しそうだ。

「私には、こういう害があった」と率直に伝えることが一番いいような気がした。