「がんに効く生活」とか

1972年生まれ。男性。2013年まで精神科医をしていました。リンクは自由です(連絡不要)。

ランセット論文、まとめ1

ドクター江部の糖尿病徒然日記  炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇。ランセット(Lancet)論文。 (fc2.com)

 炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と、また総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連する。さらに総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していないが、飽和脂質は脳卒中と逆相関していることが確認された。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、5大陸18ヵ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果、報告した。主要栄養素とCVDや死亡との関連性については、これまでのデータのほとんどが栄養過剰の傾向にある欧州や北米の集団からのもので、他の集団にも当てはまるか不明であった。著者は、「今回の結果を踏まえ、世界的な食事ガイドラインを再検討すべきである」と提言している。Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載の報告。

 

◇18ヵ国の13万5千例以上を約7年半追跡
 研究グループは、2003年1月1日~2013年3月31日に、高所得国(カナダ、スウェーデンアラブ首長国連邦)、中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ自治区ポーランド南アフリカ、トルコ)、低所得国(バングラデシュ、インド、パキスタンジンバブエ)の計18の国・地域において、35~70歳の13万5,335例を登録し、食事摂取量を食事摂取頻度調査票(FFQ)により調査した後、中央値7.4年(IQR:5.3~9.3)追跡した。

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ここまでのポイント。

13万5000人以上を、7.4年追跡。

豊かな国(カナダ、スウェーデン)から、貧しい国(バングラデシュ、インド、パキスタン)まで、幅広く網羅している。

信頼性が高い、と思う。

ちなみに、何を、どれだけ、食べたかについては、アンケート。

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全死亡リスクは、炭水化物の摂取量が多いほど増加、逆に脂質では低下
 追跡期間中に、死亡が5,796例、主要心血管イベントの発生が4,784例記録された。炭水化物は、摂取量が多いほど全死亡リスクが高く、最低5分位群(エネルギー比中央値46.4%)に対する最高5分位群(同77.2%)のHRは1.28(95%信頼区間[CI]:1.12~1.46、傾向のp=0.0001)であった。CVDまたはCVD死のリスクとの関連は確認されなかった。


 一方、脂質は総脂質および種類別のいずれも、摂取量が多いほど全死亡リスクは低かった。最低5分位群に対する最高5分位群のHRは、総脂質が0.77(95%CI:0.67~0.87、傾向のp<0.0001)、飽和脂肪酸は0.86(95%CI:0.76~0.99、傾向のp=0.0088)、一価不飽和脂肪酸は0.81(95%CI:0.71~0.92、傾向のp<0.0001)、多価不飽和脂肪酸は0.80(95%CI:0.71~0.89、傾向のp<0.0001))であった。

 また、飽和脂肪酸は、摂取量が多いほど脳卒中のリスクが低い関連が認められた(最高5分位群 vs.最低5分位群のHR:0.79、95%CI:0.64~0.98、傾向のp=0.0498)。総脂質、飽和および不飽和脂肪酸の摂取量は、心筋梗塞またはCVD死のリスクと有意な関連はみられなかった。(引用は、ここまで。)

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>炭水化物は、摂取量が多いほど全死亡リスクが高く

炭水化物(=糖質+食物繊維)の摂取量が多ければ多いほど、死ぬ可能性が高い。

この論文からは、分からないが、糖質の摂取量が多ければ多いほど、と読んで、差し支えない、と思う。

1日、2000kcal、摂る、として、その46.4%だから、928kcal

糖質1gで、4kcalなので、糖質232gに相当。(食物繊維は、消化されないので、いくら食べても、0kcalとした。)

御飯一膳を150gとすると、これに含まれる糖質の量は、55.2g

割り算をすると、4.2膳。

炭水化物摂取量が一番少ない群は(一番少ない27000人は)、一日に平均で、4.2膳位、食べていた事になる。(パン食の国が多いが。)

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炭水化物摂取量が一番多い人達は(一番多い27000人は)、総エネルギーの77.2%を、炭水化物で摂っている。

1日に2000kcal摂っているとすると、炭水化物で、1544kcal、摂っている事になる。

糖質1gで、4kcalなので、これは、糖質の量にして、386gに相当する。

そして、これは、御飯7膳に相当する。(御飯一膳を150gとして計算。)

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カナダ、スウェーデンの人達の多くは、一日に御飯を4膳強(パンを食べているだろうが)、バングラデシュやインドの人達は、一日に御飯を7膳、食べている。

そんなイメージだ。

(戦前の日本と、戦後の日本を比較しているようだ。)

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続きは、日をまた改めて。